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解説コーナー 
2004年11月


子は親にどこまで似るか

(高野 貴子/東京家政大学家政学部児童学科教授)


キーワード:血液型、耳垢、色覚異常、身長、ふたご、いとこ婚

はじめに

 生まれたわが子を見て、親は幸せに包まれ、顔のどの部分がどちらに似ているかを語り合う。長じて意に添わない行動をとるようになると、どちらかに似て困ったものだと考えたりする。一部分遺伝で、かといってそうとも決められないことに気づいている。子や親にわが身を投影したり、反感を抱いたり、期待したり、裏切られたりしたことがあるのではないだろうか。遺伝が身長や顔つきといった形に表れる表現型や、知能・才能・性格などにどの程度関与しているかを考えることも一度ならずあるだろう。現在、遺伝学の言葉でどの程度そういう仕組みを説明できるかその一端を解説した。多くはまだ霧の中で、あれこれ空想できる余地のあることを付して、先へ進もう。
1. メンデル遺伝で説明される親子の遺伝
 ゲノム研究の進展でヒトの遺伝子の数は22,000くらいと推定されている(2004年10月)。2004年10月22日の時点で、ひとつの遺伝子で表現型が規定されている単一遺伝子の形質や病気は15,000以上が判明している(文献1)

A.血液型
 血液型はたくさん知られているが、巷で性格や相性占いに登場しているのはABO式血液型(ABO blood group)である。この親からの伝わり方はメンデルの遺伝の法則で説明でき、遺伝子の座位は9番染色体上の9q34と判明しているが、性格占いは非科学的とされているので念のためお断りしておく。最近20代のダウン症候群の方(Y君)に血液型の遺伝について次のような質問を受けた。「ボクの血液型はO型だけれど、パパ似なのでB型も入っていますか。それと、出会った多くの人たちのいろんな血液型がボクの血の中に入っていますか。」この質問は多くの示唆を含んでいる。まず、メンデル以前は、形質はあたかも色水が混じり合うように、たとえば赤と白が混じってピンクになるように考えられていて、メンデルが初めて遺伝因子(hereditary elements)、今で言う遺伝子(genes)という概念を導入した。Y君は誰に教わったわけでもなくメンデル以前の素朴な疑問を血液型に抱いている。また自分の血液型の表現型がO型で、父親がB型なので分らなくなっている。「B型には詳しく言うとBBBOがあり(遺伝子型の説明、表1(文献2)、お父さんはBOで、Y君はお父さんのOをもらったのです。そしてお母さんからもOをもらって、Y君はOOとなっているO型です。ちゃんとお父さんとお母さんの両方からOをいただいて、出会った人の血液型はもらっていません。」という説明ではいまひとつピンとこないようなので、遺伝子型Aは黄色、Bは青色、Oは白色(半透明)のキューブを作って、BBBOはB型になり、OOのみO型になることを説明した。ダウン症候群は知能発達障害として知られているが、こういう質問をする知的発達の良好な成人が輩出している現状を知ってほしい。

(表1)ABO式血液型
表現型 遺伝子型 血球の反応 赤血球型抗原 血清の反応 血清中の抗体 日本人の頻度(%)
抗A血清 抗B血清 A型血球 B型血球
O OO - - - + + 抗A, 抗B 31.51
A AA, AO + - A - + 抗B 37.33
B BB, BO - + B + - 抗A 22.06
AB AB + + A, B - - - 9.10



 その他の血液型としてMNSs血液型は4番染色体長腕、Rh血液型は1番染色体短腕上に遺伝子座のあることがわかっている。MNとSs遺伝子座は4番染色体上に密接に連関している。両親からの遺伝の組み合わせは、表現型が9通り、遺伝子型が10通りとなる(表2文献2))。MNSs血液型は、表現型から遺伝子型が推定できるので、親子鑑定に有用な血液型であった。このようにメンデル遺伝をする血液型のようないくつかの形質を用いると、Bayesの定理に基づいて父権肯定の確率を計算できる(Essen-Mo¨lerの式)。現在親子鑑定はDNAレベルでPCRを用いて行われており、その精度は99.9999%になっている。


(表2)MNSs式血液型
表現型 遺伝子型 抗M 抗N 抗S 抗s 頻度(%)
MS MS/MS + - + - 0.27
MSs MS/Ms + - + + 3.92
Ms Ms/Ms + - - + 24.07
MNS MS/NS + + + - 0.20
MNSs  MS/Ns + + + + 5.32
Ms/NS
MNs Ms/Ns + + - + 43.88
NS NS/NS - + + - まれ
NSs NS/Ns - + + + 1.53
Ns Ns/Ns - + - + 20.81



 しかし、一方で次のような笑えない話もある。会社である男性社員が同僚との雑談でABO式血液型の話をしていると、女子社員が固い表情で「私の血液型は親から生まれてこない型なんです。」と言うので、返事に困ってしまったというのである。たとえばO型とAB型からO型とAB型の子が生まれるかというと普通はありえない。まれに表現型を変化させるような遺伝学的機構が働いて、シスAB(遺伝子型がAB/O)とか、一見O型にみえるボンベイ型(Oh)の場合は説明がつくこともある。

B.耳垢(ear wax)は湿っているか
 おもしろいメンデル遺伝として知られている形質に耳垢の遺伝がある。主に日本の学者が研究しており(文献3)、褐色でねばねばした飴状のWet型(遺伝子型はWWWw)が、灰白色で乾いて鱗屑状のDry型(遺伝子型はww)に対して優性である。誰でも簡単に調べることができ、日本人ではDry型が多い(84%、韓国人85%、エスキモー48%、メラネシア人28%、ドイツ人3%)など比較人類学的研究がされており(文献4)、遺伝標識として価値がある。最近その遺伝子座は16番染色体上の16p11.2-q12.1と報告された(文献5)

C.色覚異常(color blindness)
 図1からわかるようにX染色体上の劣性遺伝子(X')は、女性に伝わると保因者になり、一般的には表現型に現れず、気づかれない。劣性遺伝子が男子に伝わるとその形質や病気が現れる。このようなX連鎖劣性遺伝としてよく知られているのが色覚異常(color blindness)である。人種差があり、男性中の頻度は、一番低いのが北米のアメリカ・インデイアン1.1%であり、エスキモー2.5%、日本人4.4%、韓国人5.5%、メラネシア人4.6%、イギリス人6.7%、フランス人9%、ロシア人9.2%と報告されている。女性の色覚異常の頻度は男性の頻度を二乗した値である(日本人の女性では約0.02%)。
 私たちが色を認識するメカニズムの第一段階は、眼底の網膜上の錐体細胞の細胞膜に色を識別するオプシン(opsin)という3種類のタンパク質があり、それぞれ青、赤、緑の光の三原色に対応して区別している。青のオプシン遺伝子は7番染色体上の7q31.3-32にある(文献6)が、赤と緑のオプシン遺伝子はX染色体上のXq28にある(文献7)。このX染色体上にあるオプシン遺伝子の突然変異によって、赤ないし緑の色を識別しにくくなるのが色覚異常である。赤のオプシン遺伝子は1個しかないが、緑のオプシン遺伝子は人によって1個、2個、3個と違いがある。個数が違っても色覚には影響しないが、不等交叉によって緑のオプシン遺伝子が欠失し、そのX染色体を有する男性は緑の色覚異常となる(文献8)
 学校の定期健診では一律に小学校の毎学年、1995年からは小学校4学年で色覚異常検査を行っていたが、2003年に廃止され個別の相談で対応することとなった。鋭敏な石原式テストで色覚異常とわかっても治療法はなく、ほとんど日常生活に差し障りはなく、むしろ検査で児童に不必要なレッテルを貼り、健康不安を与える可能性があるからである(文献9)。色覚異常を理由にした大学入学制限はなくなり、職業制限も色識別にかかわる一部だけとなった。検査で陽性となった男子は次のように言っている。「僕の見ている色覚が異常と言われても、ほかの人がどう見えているかなんてわからない。僕はこの色の世界を見ているわけで、特にそれでどうということはない。」学校健診でわが子が色覚異常と言われ、病院の眼科の二次健診で疑いないと言われた母親は息子の言葉で安心したのである。


(図1)X染色体劣性遺伝


2. メンデル遺伝を超えて
A.遺伝・環境相互作用(gene-environmental interactions)
 最近、後で述べる多因子遺伝とは別に、メンデル式遺伝病、すなわちひとつの遺伝子で病気が規定される単一遺伝子病において遺伝・環境相互作用(gene-environmental interactions)が言われるようになった。たとえば、常染色体優性遺伝病であるポルフィリア(porphyria)を例に挙げて説明する(文献10)。ポルフィリアはporphobilinogen deaminase (PBGD)活性低下による先天性代謝異常症でいくつかのタイプがあるが、症状の発現は思春期以降の女性に多く、大半は無症状である。妊娠で寛解することが多く、薬剤、アルコール、エネルギー摂取不足、感染、その他の遺伝子異常(hereditary tyrosinemia type T)などの影響を受ける。これらの知見からポルフィリアは長い間考えられていたような単純なメンデル式の単一遺伝子病では片付けられず、単一遺伝子の異常によるPBGD活性低下に加えて、後天的ないし遺伝的なほかの要因がからんで発症し、異質性(heterogeneous)が特徴と説明されている。今後遺伝学やゲノム研究の進展で、このようなひとつの遺伝子と環境の相互作用の観点からも親子の相似が語られるようになるだろう。

B.ミトコンドリア遺伝
 核内の染色体とDNA以外に、ミトコンドリアにも固有の染色体とDNAがある。ミトコンドリアは細胞質にあるので、母親から卵子を通してすべてのこどもに伝えられる。Walleceらが最初にLeber視神経症(Leber optic neuropathy)において、ミトコンドリアDNAの変異が母親から遺伝している母性遺伝(maternal inheritance)であると報告した(文献11)。現在ミトコンドリア遺伝子は60判明している(文献1)。ほとんどがミトコンドリア遺伝病の遺伝子であるが、加齢との関連を示唆する遺伝子も知られている(McKusick number #50200)(文献12)。ミトコンドリア遺伝は、父親と無関係に、祖母から母、母から子へと代々引き継がれる。その子が男子であれば、その子孫には伝わらない。このような母親似の形質がさらに明らかになっていくだろう。
3. 遺伝と環境
 ほとんどの形質や疾患の背景に遺伝要因が考えられる。一方で環境要因も考慮しなければならず、遺伝要因と環境要因を整理すると考えやすい(図2)。
 胎内環境要因としては、胎内感染や中毒、放射線、母体の薬剤摂取・飲酒・喫煙の影響などがある。疾患例としては、先天性風疹症候群、先天性トキソプラズマ症、先天性梅毒、先天性肝炎、胎児性水俣病(有機水銀中毒)、サリドマイド、先天性アルコール症候群などがある。しかし、後天的な感染症においても宿主hostの側の遺伝要因が無視できず、環境要因である外因(ウイルス、細菌、寄生虫など)で100%決まっているとは言えない。たとえば、HIVウイルスによるAIDS感染しにくい人がDNA塩基レベルで明らかになっている。結核では薬剤の効果や免疫に個人差があり、抗結核薬の分解酵素を持っている人は効果が低い。


(図2)

4. 多因子遺伝
身長や知能などは、複数の遺伝子polygeneの相加効果と環境要因の作用で形質が発現する多因子遺伝と考えられている。このようなpolygeneは、一つ一つの効果は小さいが相加的に働き、おのおのメンデルの法則に従って分離し、突然変異についても単一遺伝子と同様に考えることができる。多座位の遺伝子が同義遺伝子であれば、相加効果のため、表現型は連続的な正規分布を示す。
 遺伝性疾患が、多数のpolygeneに支配されている場合のモデルがしきい説である。易罹病性liabilityは連続的であるが、表現型はしきい値thresholdを越えると疾患となり、それ以下なら正常で、見かけ上不連続となる。易罹病性には、遺伝要因と環境要因が含まれるが、そのうち遺伝要因の寄与の度合いを遺伝力heritabilityとして推定することができる。表3に示した疾患は多因子遺伝病で、遺伝力が50%以上のものは、遺伝要因の方が環境要因より寄与が大きい(文献13)
 双生児(ふたご)の両方がそろって同じ疾患に罹患している双生児一致率(後述)も多因子遺伝の根拠となる(表4)(文献13)。環境の影響がないとすると一卵性では必ず一致する。一卵性での一致率が高いほど遺伝的影響が大きく、遺伝力が高い。
 多因子遺伝をする形質の例としては、身長、体重、皮膚の色、知能、指紋の総隆線数などがある。多因子遺伝病の例としては、先天奇形と生活習慣病が挙げられる。先天奇形では無脳症・脊椎裂、口唇裂・口蓋裂、先天性心疾患、肥厚性幽門狭窄、先天内反足、先天性股関節脱臼などが多因子遺伝病のモデルに合う。生活習慣病の多くは多因子遺伝で、高コレステロール血症、本態性高血圧、アルツハイマー病、糖尿病、リウマチ、アトピー、喘息などで遺伝子解析が進んでいる。


(表3)多因子遺伝病の遺伝力
多因子遺伝病 遺伝力(%)
無脳症・脊椎裂 65
口唇裂(口蓋裂合併を含む) 53(日本人)
80
口蓋裂 59(日本人)
70
Fallot四徴症 54
心房中隔欠損 70
先天性肥厚性幽門狭窄 83(日本人)
消化性潰瘍 37
腎臓結石 46
先天性内反足 70
先天性股関節脱臼 82(男)
58(女)
尿道下裂 74
注:(日本人)の表示のないものは諸外国報告例



(表4)多因子遺伝の双生児一致率
疾患または性質 一卵性(%) 二卵性(%) 疾患または性質 一卵性(%) 二卵性(%)
身長 95 52 インスリン非依存型糖尿病
インスリン依存型糖尿病
100
30-40
10
6
IQ 90 60
指紋の隆線数 95 49
口唇裂(口蓋裂合併を含む) 35 5 高血圧 30 10
先天性股関節脱臼 41 3 虚血性心疾患 19 8
内反尖足 32 3 リウマチ性関節炎 30 5
二分脊椎 6 3 アトピー性疾患 50 4
幽門狭窄 15 2 胆石 27 6
知的障害(<IQ50) 60 3 17 11
統合失調症 45 12 甲状腺機能亢進症 47 3
躁うつ病 70 15 老人性痴呆 42 5
てんかん 37 10 結核 87 26
乾癬 61 13 ハンセン病 60 20

5. 背が低い、背が高い
 同じ年齢、性と人種の人を集めて身長を測ると、連続する正規分布となる。いくら背が低い、背が高いといっても、10pや300pの人はいない。男は女より背が高く、人種差があり、両親の身長と子どもの身長には相関があるから、遺伝が関係していることは容易に理解できる。戦後、戦時下のストレスがなくなり、栄養状態がよくなって、背が高くなっているので、環境要因も大きく作用している。近年は最終身長の増加は認められなくなってきている。
 最終身長は父親の身長をPH、母親の身長をMHとすると次の式で予測できる(文献14)

Target height(最終身長):TH、Target range(そのレンジ): TRとする。
男の子は、Male TH={PH+(MH+13)}/2p、Male TR=male TH±9p
女の子は、Female TH={(PH-13)+MH}}/2p、Female TR=female TH±8p

 ±2SD(SD=標準偏差)からはずれると低身長、高身長と診断される。低身長の大部分は体質性低身長と言われ、原因不明である。最近、低身長の一部はSHOX(short stature homeobox containing gene, X chronosome)遺伝子の欠失によることがわかった。このSHOX遺伝子(文献15)は体質性低身長の責任遺伝子であるばかりでなく、Turner症候群やLeri-Welli症候群の低身長の責任遺伝子であることが判明し、SHOX遺伝子異常症が多様であることが明らかとなってきた。これらはSHOXをプローブとしたFISH法により診断が可能である。SHOX遺伝子異常症の一部は、成長ホルモンを用いた治療が有効である。
6. ふたごの遺伝
 双生児(twin)には一卵性、二卵性の2種類がある。一卵性双生児は、一卵子と一精子からなる一つの接合体が、二つの胚に分かれた遺伝的に同一な二個体である。二卵性双生児は、二つ排卵された卵子が、二つの精子と別々に受精して、胎内で二個体として発生した結果である。平均的には遺伝子の半分が共通で、一般的には兄弟姉妹と同じである。
 双生児の出産頻度は日本人では低く、約160の出産あたり一回(80人に1人)である。アジアでは1000出生あたり2〜7、欧州では9〜20、米国では7〜12と言われている。一番頻度の高い黒人種では50出産あたり一回あるいはそれ以上(1000出生あたり45〜50)と言われる。一卵性双生児の出生頻度は人種差がなく、1000出生あたり3ないし4(0.3〜0.4%)である。したがって双生児の出生頻度の人種差は、二卵性の差ということになる。二卵性双生児は多排卵によるので、排卵の機序に人種差があるらしい。一般に高年齢になるほど、また排卵誘発剤を使うと二卵性双生児を産む率が高くなる。デンマークでは、不妊治療のために二卵性双生児の出生率が高くなったと報告されている。双生児出産が繰り返される確率は期待値より高く、二卵性双生児を産む素因は母方を通じて伝達されると推測されている。一卵性双生児の家系でも同性双生児が父方、母方を問わず繰り返されることが知られている。
 双生児研究において、一卵性と二卵性双生児の比較、幼児期から離れて育てられた一卵性双生児の比較は特に重要である。これらから遺伝要因と環境要因を分析できる。着目している形質が双生児の双方に発現していれば一致(concordance)、片方しか示していなければ不一致という。遺伝と環境の両方の影響を受ける多因子遺伝形質で一卵性と二卵性双生児の一致率を比較し、一卵性の一致率が二卵性より高いほど遺伝的影響が大きく、遺伝率が高い。このような双生児一致率の知見によって、遺伝子解析が進展する以前から、アトピー、唇裂・口蓋裂、先天性股関節脱臼、幽門狭窄、内反尖足、糖尿病、高血圧、てんかん、乾癬、リウマチ性関節炎、躁うつ病、統合失調症などが多因子遺伝病であることが知られていた。発達、性格などについての双生児研究は心理学、社会学分野で盛んである。
7. いとこ婚は良くないか
 日本の法律で認められている最も近い近親婚(血族結婚)はいとこ婚である。日本の近親婚率(近親婚の組数/全夫婦組数)ならびにいとこ婚率は急速に減少し、近年にいたるまで減少し続けている。1983年の日本の調査(文献16)では、いとこ婚率は1.6%で、クウェート32.2%、ヨルダン32.2%、レバノン14.0%より低いが、ノルウエー0.2%、イギリス0.1%、ハンガリー0.3%、アメリカ0.01%など欧米に比べるとまだかなり高い。インドの近親婚率は宗教によって異なり、ヒンズー教徒の方が回教徒やカトリック教徒より高い。
 いとこ婚などの近親婚で問題となるのは、劣性遺伝病の発症率が高くなることである。詳しい説明は省くが、劣性遺伝子がホモ接合になる確率が高くなるからである。頻度の低いまれな劣性遺伝病ほど一般集団(他人結婚)に比べて近親婚による相対危険率は高くなる。日本では全身白子、ウェルナー症候群の両親の約半数がいとこ婚、日本人に多い小口病(夜盲)は44%、フェニルケトン尿症は35%、Dubin-Johnson症候群は33%、先天性進行性筋ジストロフィー症は14%がいとこ婚から生まれている(文献2)。近親婚が減ると劣性遺伝病はかなり減少することがわかる。
おわりに 
 読者はもっと身近で切実な事柄、たとえばボケ(痴呆)や禿げの遺伝あるいは性格や行動の遺伝などが知りたかったかもしれない。それらには触れなかったが、性格や行動の遺伝については文献17などを参考にしてほしい。
【文献】
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[母子保健情報第49号(2004年5月刊行)特集:母と子の病気や健康と遺伝子]を一部改変

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